夏の終わりのクレマチス
時期はずれほど情けないものはない。
だが、時として、それがうれしかったりする時もあったりする。
鮮やかな百日紅にばかり気をとられていたら、
もう終わったと思い込んでいたクレマチスに花がついていた。
数日前から咲いていたんだろう。連日の猛暑で萎びていた。
大好きな夏の花。
本当はクレマチスだけど。
僕は鉄線と呼びたい。
そして、鉄線のような凛とした、
そんな女性が理想なのである。
時期はずれほど情けないものはない。
だが、時として、それがうれしかったりする時もあったりする。
鮮やかな百日紅にばかり気をとられていたら、
もう終わったと思い込んでいたクレマチスに花がついていた。
数日前から咲いていたんだろう。連日の猛暑で萎びていた。
大好きな夏の花。
本当はクレマチスだけど。
僕は鉄線と呼びたい。
そして、鉄線のような凛とした、
そんな女性が理想なのである。
どういうわけだか。常連さんであり、高校時代の同級生であるナリマッチャン。いつも来る度に「きょうはコレ」と言って何かしらお土産をくれる。それも僕にだ。
一緒に来た飲み仲間さんたちも一瞬キョトンとしてしまう。なんだか僕ら「出来てる二人」のように映るらしい。当の僕さえも、なんともコッ恥ずかしい気になってしまう。
だが、僕が思うに、たぶんウチのお店が女性客が多いということで皆(女性)が喜ぶと思って買って来ているのではないだろうか。
先日は東京の有名な老舗の「芋ようかん」だった。その前は近くの和菓子店で見つけたからと「いちじくの甘露煮」。「花」や「お酒」は言うまでもなく、誕生日だからと「ケーキ」という時もあった。果ては沖縄のマンゴーだ。相当高価なものだったはず。
とにかく何かしらお土産持参でやって来る。同じ年だとは思えないくらい若々しく、顔立ちもいい。加えて真面目で仕事も出来る。非の打ちどころのない人とは彼のような男を言うのではないか。
そして数日前のことだった。
「阿蘇の小国に行って来たんだ。コレ、お土産」と言って渡されたのは【ラー油】だった。
「店のアテに使えるんじゃないかと思って。今流行りの食べるラー油だ」
とうとう【ラー油】で来たか。まじまじとビンを見た。阿蘇郡小国町にある「ふくいちらーめん」というお店のオリジナル製品だった。
ゆえにネーミングも『らーめん屋さんの手作りラー油』。言うまでもなく阿蘇特産の「高菜」入りである。
今、日本各地でラー油ブームである。きっと北は北海道から、南は・・・おっとラー油ブームの火付け役は沖縄発のラー油。島唐辛子を使った<石垣島ラー油>や、久米島の素材を使った<くめじまラー油>など。
そして2009年秋、桃屋のラー油が登場した。具だくさんの“食べるラー油”という斬新なコンセプトが受けて、爆発的な人気となった。『辛そうで辛くない少し辛いラー油』という商品名も中々に秀逸だ。
最近では地元産の食材にこだわったラー油がたくさん登場している。「越前天然甘えび」「福井の特別栽培米コシヒカリ」「丹波産のハバネロ唐辛子」「仙台の牛タン」「福岡産のニラ」「明太子」「信州味噌」「山椒」・・・まさに調味料という枠を飛び越えて「おかず」感覚で食べるラー油へと進化してきた。
個人的な意見で恐縮なのだが、僕はラー油があまり得意ではない。辛いもの」が苦手なのである。ワザビやショウガといった辛さは逆に好きなのだが、あのヒィーヒィー言うような唐辛子系の辛さがダメなのである。つまり香辛料。
おっと。話がナリマッチャンのお土産のことから「食べるラー油」になってしまった。
というわけで阿蘇郡小国の【らーめん屋さんの手作りラー油・阿蘇高菜入り】である。
コワゴワしながら蓋を開けてみた。ゴマ油とともに高菜やニンニクなどが混ざり合った、あのラー油特有の匂い。恐る恐る舐めてみた。すると・・・なんと熊本ラーメンの味わいが!やはりラーメン屋さんが作っただけのことはある。しかし、辛い。しかもいきなり来なくて後からググッと来る。
食べるラー油だから具も食べないとなあ。いざ、スプーンでごく少量すくって口の中へ。
あら? 思ったほど辛くない。高菜特有の酸っぱさがマイルドに出ている。「こりゃイケるな」と思った瞬間、しびれるような辛さが口中にパアーっと広がった。思わず飛び上がってしまった。
大げさに聞こえるだろう。たぶん普通の人にはそれほどではないのだろうが、だが、本当に僕は辛いものに弱いのである。
まっ、ナリマッチャンのオーダーもあることだし。これを使って何かアテにならないか研究してみよう。ただ、ひとつ言えることは「間違いなく日本酒ではなく焼酎にしか合わない」ということだ。
さて。明日は金曜日。もしかしたらナリマッチャンがやって来るかも知れない。今度はどんなお土産を持参してくるのだろう。楽しみでもあり、恐怖でもある。
遅れに遅れて残暑DMとなってしまった暑中お見舞いハガキ。最終分をやっと昨日の夜に投函できたので、遅くとも今日にはお客さんの所に届くはずだ。
だが。毎回のことだが、投函した約250枚のハガキのうち、必ず数枚が返って来る。
【あて所に尋ねあたりません】という赤いスタンプが押されて返ってくる。引っ越されたのだろう。
行く宛てを失ったハガキほど悲しいものはない。ましてや、それを書いた者にとって。そのヨレヨレになったハガキを受け取ると、なんとも言えぬ寂しい気分になる。
僕らの仕事は<一期一会>。毎日が二度と会うことのない出会いの繰り返しだったりする。初めてお会いし、話している時の、あの幸福な時間。いつまでも忘れたくないと、つくづく思う。因果な商売だ。