itochan room
[ bar伊藤 ] - 熊本市上通町11-6 エイブル並木坂ビル3F  [ TEL.FAX ] 096-323-8688
[ 営業時間 ] - 19:00 ~ 翌2:00  [ 定休日 ] - 日曜日

2009/07/15

うなぎテボのランプシェード

Category: アングル・オブ・bar伊藤 — itochan @ 19:55:57

カウンター席の一番奥の壁際に置かれたランプシェード。よく見ると竹製である。

だが、その竹製のランプシェード、元来は違う用途の物であるということは気づかれていない。

いわゆるこの竹製の物体、実は【うなぎテボ】と呼ばれるもの。うなぎ取りに使われる竹で編んだカゴである。

ただ、これはそのうなぎテボの蓋。本体ではない。本体は細長い筒状になっていて、この中にエサを入れて三角錐形の蓋を差し込んで水の中に沈めるのである。

[↓写真参照]

うなぎはエサの匂いに誘われて三角錐の入り口から入り込む、すると形状からして逆戻り出来ない。日本古来からの伝統的な漁法である。

これをランプシェードにしようというアイデアは僕オリジナルではない。熊本市工芸会館にて展示即売されていたものを求めてきたのである。

あまり言いたくはないのだが、よく見ると結構作りは粗い。だが、ウチのような暗い場所でランプシェードとして使う分にはさほど気にならない。そういうわけで使っているのだ。

こでが洋酒を扱うようなシャレたBARでは難しかろう。和酒専門だから許される部分もあると思う。

さて。編んだ竹からこぼれる灯りはなんとも柔らかく、横の白壁に面白い文様の影を落としてくれる。

開店以来、6年近く経つが、まじまじと見つめたお客様も、はたまた「コレは何?」と尋ねてこられるお客様もいらっしゃらない。ちょっぴり寂しい気もする。

2009/06/10

Angle of Bar伊藤②【壁のススキ】

Category: アングル・オブ・bar伊藤 — itochan @ 21:15:25

ポスターなどの飾り物ひとつない店内の壁。意識しなければ見過ごしてしまいそうなくらいに、さりげなく植物が塗り壁に埋め込んである。

植物は2種類。ススキとネコジャラシ。

お店を作る時、「壁にススキを埋め込もう!」という知人の素敵なアイデアに賛成し、阿蘇までススキをとりに行った。

ついでに他はないかといろいろ阿蘇の原野をほっつき歩きながら探したが、今ひとつピンと来るものがなくて。ふと、帰り道に白川の河川敷でネコジャラシの群生を発見。「コrだ!」と同行した友人と二人、夕暮れの河川敷でネコジャラシを大量に引っこ抜いて来た。

さて。取ってきたまではよいが、これをすぐに壁に塗り込めるわけではない。乾燥させて水分をなくさなければならない。いわゆるドライフラワーの原理と同じである。

そして、すっかり乾燥しきったススキとネコジャラシを壁へと塗り込む。当然、壁塗り作業と同時進行である。とはいえこちらは素人。左官さんらに教えを請いながらの作業。何度も塗り込んでは「ダメだ」と外し・・・その繰り返し。左官さんも最後には呆れていた。相当に仕事の邪魔をしたと思う。申し訳なかった。

ところで。この塗り込めたススキとネコジャラシ。よく見ると、穂は行儀良く一方向へと向けられている。カウンター席に座って左側から右側へと。つまり右の大きな窓から入り込んだ風に、穂がなびいているように穂を右向きにしてある。なかなかの演出。でも、あまり気づいているお客様はいない。ちと残念な気もする。

たまに知ったかぶりのお客様が「その壁の麦はどこ産の大麦だい?」と。僕としては「麦じゃありません。ネコジャラシです」と答えたいのだが、以前「酒を扱うんだから麦にすべきだ」と言われたことがあり、以来あまり口にしない。というか「麦」ということで話を合わせたりしている(笑)

さて。壁の中のススキとネコジャラシ。殺風景な店内、しかも直線ばかりの構成の中で、そこだけやわらかな演出をしてくれている。いいアイデアだと自画自賛。

2009/05/30

Angle of Bar伊藤①【馬門石のステップ】

Category: アングル・オブ・bar伊藤 — itochan @ 21:25:20


【馬門石のステップ】

設置場所から、大半のお客様が気づいておられないであろうステップに使っている薄紅色の石板。

この石は僕の自宅のある市の特産物で【馬門石(まかどいし)】というものだ。別名「阿蘇ピンク石」とか、また地元の人たちは「赤石」と呼んで昔から馴染み深い石である。

では、この【馬門石】とは、どういうものか。宇土市公式ウェブサイトより引用。

《宇土市網津地区馬門に産する阿蘇溶結凝灰岩で『まかどいし』と読みます。

ピンク色を呈する美しい色調で、比較的に加工しやすく、古代から建築用の資材等として利用されてきました。

古墳時代には、遠くは関西地区まで運ばれ、古墳の石棺としても利用されていることが分かっています。近年の調査では天皇陵からも出土しており、この石がいかに珍重されていたかが分かります。》

また、熊本日日新聞社の「くまにちコム」には、「・・・細川藩時代、唯一の御用石として厳しく管理され、領内の橋や水門など公共建築に広く使われた貴重な石だ。・・・」と。詳しくはコチラ↓
http://lets.kumanichi.com/kumamoto_rena/simen/04_040715/index.html

さらに詳しく説明すると、宇土細川藩の六代興文(おきのり)はこ馬門石をたいへん好んだらしく、宇城市不知火町に作った隠居所の桂原蕉夢庵の台所の流しの石に使ったと言われている。

そういえば僕が幼かった頃、すでに使っていなかった古い(台所の)流しは馬門石でした。今も我が家の裏にある。お店のステップに使っている石も一緒にあった。

また、轟泉水道は二代行孝の時代に完成していたが、約100年後の明和6(1769)年、興文が馬門石に石の樋管を取り替えた。轟泉水道は日本最古の水道として今でも約120戸余りの人々が生活用水として利用している。

そうそう忘れそうだった。宇土市街中心部を流れる船場川にかかるアーチ状の石橋も馬門石で出来ている。

・・・とまあ、こういう由緒ある石なのである。

bar伊藤を開店して6年目。「おっ、これは阿蘇のピンク石かい?」と尋ねられたお客さまは、わずかお一人。ぜひとも、今度お出でになられた際にはじっくりと見てください。

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