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2006/10/25

深く美しいシーン・メイク・ミュージック

Category: 50男のモンドリズム — itochan @ 17:48:42

■■A Day In The Life・・・
■■きょうの僕を幸せ気分にしてくれた1曲

[2006/10/25]
【NIGHT IN THAT LAND】
NIGHTNOISE / SHADOW OF TIME
written by by JOHNNY CUNNINGHAM
performed by NIGHTNOISE
from the album[SHADOW OF TIME](1993)

錦繍の秋。色鮮やかな秋の風景は、それだけで見る人を幸せにしてくれる。しかしながら、正直なところ、そのきらびやかさゆえに、少しばかり気後れする自分がいるのも隠せない。

そんな時、その風景と自分との間に距離をとる。いわば「間合い」。この間合いをとることで秋を十二分に満喫できるような気がする。自然なんてものは人間の感性を総動員してもってしても掴みきれるものではない。あまりにも大きく、あまりにも美しく。畏敬の念を抱かせるのみ。

だが、人間はそれをどうにかして自分らの手中におさめようとあれこれと生み出してきた。思いをカタチに表す。その手段として絵画がある。詩歌がある。そして音楽がある。
 
ひとつの歌を聴いて、そこに風景(あるいは情景)を思い浮かべてしまうことがある。たとえそれが行ったこともない土地であるにもかかわらず。果たして、その風景はどうやって頭の中に具象的に描いているのだろう。たぶん、これまでの人生の中で見たり、聞いたりしてきた情報を元に具象化しているに違いない。人間のイマジネーションとはすごいものだ。

 
 
ナイトノイズの音楽を聴くと、僕はきまってアイルランドの風景を思い浮かべてしまう。当然、行ったことはない。

このアルバムは、ナイトノイズのメンバーが全員アイルランド人となった時代の作品である。前作までのナイトノイズのサウンド・カラーといえば、いかにもニューエイジ・ミュージック的、都会的な雰囲気の漂う曲が多かったが、このアルバムからはアイルランド色が一気に濃くなっている。

メンバーは4名。ギター、フルート、フィドル、ピアノ、アコーディオンなどに加えて、シンセサイザーを使ってはいるものの全体的にはアコースティック・サウンドを前面に打ち出している。数曲ヴォーカル曲(男性あり・女性あり)もあるが、大半がインストゥルメンタル・ナンバーが占めている。

僕自身アイリッシュ・ミュージックに一時ハマったことがあった。それなりに数多く聴いた。しかし、いろいろ聴いていくうちによりトラッドな音楽へと向かわなければならなくなり、同時にそのトラッド色(匂い)がだんだんと強くなっていくと、どうしてもついていけなくなったのだ。で、挫折。結局、口当たりのいい程度のトラッド色のある音楽でとどまってしまった。

あれから10数年。あらためてアイリッシュ・トラッド・ミュージックに耳を傾けてみた。これがどうだ! 以前はその体臭的トラッド色に嫌悪感さえ覚えていたのが、意外にすんなりと聴けるではないか。職業に履歴、お酒に酒歴、音楽にも音歴というものがあるのだろうか。積み重ねていくうちに心の奥底で聴くことができるようになっていた。

 
 
選んだ1曲。T⑦『NIGHT IN THAT LAND』は、どこか懐かしくなるようなメロディが印象的なインストゥルメンタル・ナンバー。 ともすれば陳腐になってしまいそうな曲想だが、ホッとするような暖かい音楽に身も心も委ねたくなってしまう。アコースティック・ギターの爪弾きの上をフィドルの美しい音色が秋風のように流れて行く。通奏低音のようなシンセの控えめな音が音像空間を広げる。やわらかなホイッスルの音色に、まだ見ぬアイルランドの情景が浮かぶ・・・。

THAT LANDとは・・・アイルランドなのだろうか?

思うのだが、この曲想は、アメリカの古い民謡にも通じる。アイルランドとアメリカ。歴史的に考えればあって当然なのだが・・・例えは無茶だが「ダニー・ボーイ」のような曲だと思ってもらえば理解してもらえるだろうか?本当に素晴らしい。

 
まだ紅葉の頃と呼ぶにはいささか抵抗がある街なか。錦絵巻のような秋景色を数週間後にひかえ、僕はアイルランドの秋を想う。これを聴いてそんな感傷にひたるなんてキザだという方がいるだろう。感じるのだから仕方がない。

ナイトノイズの音楽を単なるイージーリスニングととるか、シーン・メイク・ミュージックととるか、それは今あなたがいる状況、そして感受性で決まる。いつまでも、年齢を重ねてもしなやかな感受性を持っていたいと思う。

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