いい日,旅立ち,あとの祭り。[14]
【アテもなく旅は続く・・・雨の郡上八幡③】2005/09/05
郡上おどりの実演を見た「郡上八幡博覧館」のすぐ近くに「城下町プラザ」というお土産店を兼ねたようなバス停留所があった。僕は、これからどうしようか迷っていた。
この山あいの静かな町に一泊するものいいなあ。もしかしたら悲願の鮎料理が食べられるかも知れないし・・・いろいろ調べてみた。宿代は結構高い。しかも、町散策でわかったことだがナイトライフを楽しむほどシャレたお店は見当たらなかった。それにもまして台風接近中。ここで一泊して翌朝電車が走らなかったらどうしよう・・・???
一泊することは諦めた。それじゃどうしよう? 時計は午後1時を刺していた。これからもっと奥地まで足を伸ばして・・・エッ! ウソ? マジ?
馬鹿だった! 僕は、てっきり長良川鉄道はどこかの鉄道と連絡して日本海側へ抜けられれるものだとばかり思っていた。ア然。
仕方ない。来たルートをもどろう。時刻表で美濃太田行を調べた。時間がある。それじゃ、も少し・・・と、僕は時間潰しの散策を始めた。
しばらく歩いていると「郡上八幡の地酒」という看板を見つけた。よし、お土産でも買って行こう。町をウロウロしながら、その酒蔵を探した。すると昔ながらの店構えで、大きな看板をかかげた酒蔵が見つかった。

『積翠(せきすい)』という名のお酒を造っている。今まで聞いたこともない地酒だ。ワクワクしてきた。山あいの水のきれいなところ、しかも小さなつくり酒屋・・・こんな出合いがたまらなくうれしい。
店をのぞいてみた。誰もいない。棚にはびっしりとお酒が並べてある。奥にいるだろう店の方に声をかけることなく店内に踏み入り、いろいろ物色した。四合ビンは一種類しかない。『積翠』の本醸造原酒だけだ。壁の棚には大吟醸やら『春駒』というお酒が並んでいた。
お店の奥からおばあちゃんが現れた。先代の奥様といった感じだ。「四合ビンはこれしかないんですか?」とたずねると「ええ」と。一升ビンでも宅配すれば問題ないのだが、初めて出合ったお酒を一升ビンで、しかも大吟醸で・・・なんて無謀すぎる。僕のモットーではないが、“本醸造が旨ければ、大吟醸は推して知るべし”。僕は四合ビンの本醸造原酒を求めた。
味見はともかく。これでお客さん方にお土産はできたっと。ひと安心。さて。そろそろ電車の時間だ。急ごう。僕は足早に駅に向かった。

定刻通り、電車は郡上八幡駅のホームに入って来た。僕はいそいそ乗り込んだ。やはり乗客は少ない。まあ、少ない方がいい。1時間半、のんびり旅ができる。
電車はひとつ一つ各駅に止まって進む。ところが、だ。来た時と違い、次第に乗客が乗り込んでくるではないか。それも学生たちだ。高校生ぐらいだろうか。あっという間に車内はいっぱいになった。
のんびり・・・なんて考えた僕の期待とは裏腹に、周りには女子高生がぎっしり。こういうのは得意じゃない。とにかくウルサイ。それに若い生気とでも言おうか、若いニオイが充満してきた。
目の保養・・・なあ~んて、とんでもない! 目線を上げると女子高生。右を向いても、左を向いても女子高生。当然両隣りの席も女子高生。ちょっとでも動いたら・・・あぁ~っ!
じっと我慢のオヤジに徹している僕に対して、彼女たちときたら、おちょくっているのかと思うほどの大胆な行動に出る。真正面の娘は短いスカートの足を組んで見せる。別の娘たちは僕のことをジロジロ見ては笑っている。ホント、居たたまれない気分だ。時計を見た。あと30分。頑張れガンバレ、と僕は自分に言い聞かせた。
しかし、女子高生の青く甘酸っぱい匂いに満ちたローカル線は、懐かしさと圧倒的な若さで僕を戸惑わせた。このままどこへ。
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