マズイかな?
■■A Day In The Life・・・
■■きょうの僕を幸せ気分にしてくれた1曲
[2007/06/26]
【PALOS】

written by R.BAUTISTA
performed by WILLIE BOBO
from the album[BOBO] (1979年)
それは突然の来訪。イヤ、登場だった。久しぶりにお会いしたお二人。どれくらいぶりだろう。10年以上経っているかも知れない。実に懐かしい。しかし。まるで数日前に会ったような。そんな気さえしてしまう。「懐かしい」とか「ホント、ひさしぶりです」なんて言葉を口にする間もなく。すんなりと会話に入れる。10年以上という時の流れなど感じさせないくらい、フツーでの再開。本当の友だちとはこういうものなのだろうと。
このお二人。ご夫婦である。年齢的には僕より5つほど上。僕が予備校生時代に、それこそ毎日通っていた喫茶店のマスターと奥さんだ。予備校生であるにもかかわらず、いつも授業をフケて。カウンターに陣取り、バカ話ばかりやっていた。
奥さんは雑誌の編集をやったり、フリーライターをやっていた。数年前、本を出版され話題となった。作家と呼んでいいんだろうか。以前の肩書きはライターだったが。
そんなお二人が突然の来訪。僕は早い時間だったということもあり、いつものようにパソコンでブログをしこしこと書いていた。
「いやあ、ユキト君。ひさしぶり」
「えっ、あら。うめ吉さん。どうしたんですか? おや、奥さんまでご一緒に」
「今日は何の日だか覚えているかい?」
「ええっと。いや、すみません。覚えていないです」
「ジュリーの誕生日だ。沢田研二のね」
「はあ?」
「つまり、俺たちの結婚記念日」
そうだった。うめ吉さんのニックネームは『ジュリー』だった。誰かが付けたわけではなく、うめ吉さん自身で付けた。僕らは当時、それを聞いた時、呆れた。というよりこの人、いったい何者なんだ。何を考えている人なんだ」と。
奥さんは美人である。このお二人はジュリーの誕生日にあやかって、自分たちの結婚式をsれに合わせたのだった。どこまでオモロイ、イヤ“変な人たち”なのだろう。酔狂にもホドがある。僕ら田舎青少年には、まったく理解出来ない行動だった。
うめ吉さんとはその後、一緒にバンドを組んでやっていた。バンド名は『NOSAN ALL STARS』。とにかく変わったバンドだった。自分たちのオリジナル曲なんていっさい演らない。演る曲といえば、テレビやラジオでヒットした曲ばかり。それも歌謡曲だったり、今でいうところのJ-POPだったり。とにかく皆が知っている曲しかやらない。
恐ろしいくらい、不思議なバンド。しかし、逆説的に考えてみれば、これこそ“オリジナリティ”なのかも知れない。うめ吉さんは言っていた『お客さんに愉しんでもらってこそプロだ』。オリジナルなんて演るやつは自己満足。
「NOSANに出来ないものもいっぱいある。だけど、NOSANにしか出来ないこともいっぱいある!』
名言だ。だからといって演奏が上手いかというと・・・そうでもない。皆ほとんど素人。一時はメンバーも増えて13人ぐらいになった時があったが、その時、メンバーで楽器が出来たのは僕を含めて3人ほどだった。残りのメンバーは歌担当。それも人前で歌ったことなど、カラオケ以外ではまったくないという、これまた怖いもの知らずのバンドだった。
演奏会場は、もっぱら大道。今でいうところのストリート・ミュージシャン。それから酔狂なことにお呼びがかかり出し、次第に地方巡業をやるようになった。とはいえ会場はといえば、県内の市・町・村のお祭りに参加するのだ。トラックの荷台の上だったり、店先だったり、はたまたペンションだったり、カフェ・レストランだったり・・・とにかくどこででもやる。呼ばれればやる。呼ばれなくても無理に行って拝み倒してやる、のである。
そんなNSAN ALL STARSも30年近く続いている。時代とともにメンバーも入れ替わりながら。僕は初代のリード・ギタリストだった。といっても、ギターが弾けるのが僕とうめ吉さんと、もう一人。うめ吉さんがリード・ヴォーカルをとっていた。
NOSAN ALL STARSの魅力を文章ではうまく表現できない。とにかく音楽版大道芸と思ってもらえば、そんなに外れてはいない。このブログを読んでいる方の中で熊本在住という方であれば、名前ぐらいは聞いたことがあるのではないだろうか。
さて。話がヘンテコな方向に行ってしまった。軌道修正。
そんなうめ吉ご夫妻。僕のお店を見て喜んでくれた。
「いいお店だよ。もっとこじんまりとした、フツーのお店かと想像していた。いやあ、いい。これならいつでも泊まれるね。そう。ここでライブを演ろうよ」とうめ吉さん。「カンベンしてくださいよ」と僕。三人、大いに笑う。
「ところで奥さん。書くほうのお仕事は最近はどうなんですか?」
「今はやっていない。乗らないと書けないもんね」
「同感です。それじゃ何をやっているんですか?」
「バンドに加わってるわ。コンガを演っているの」
「家内は上手いんだよ。そうだ。コンガの入っている音楽を何かかけてよ。いろいろ聞いてみたいから」
僕は、レコード棚に目をやった。mmm・・・何にしよう。そうだ! 棚から1枚のレコードを引っ張り出した。LPをかけるのもひさしぶりだ。
「かっこいい! いいねえ、コレ」と奥さん。
「さすが、ユキト君。相変わらず音楽オタク」とうめ吉さん。
「コンガって言って、すぐパッと出てくるのがすごい!」と奥さん。
「ラテンは好きなんです。ただ、このLPジャケットがねえ・・・勇気がいるんですよ。これ誰なの?って聞かれても、声に出して答えられないんです」と言いながら僕はお二人の前にジャケットを置いた。そこにクレジットされたアルバム・タイトル。
『BOBO』
「いやあ~、こりゃあ熊本じゃムリかも。熊本じゃ、発売禁止だ」
そのおぞましき文字が、しかも赤い色で書かれたジャケットと見ながら、再び三人で再び大笑いした。
で。今日選んだ1曲がそのアルバムの中の1曲。このアルバムは、ラテン・パーカッション奏者ウィリー・ボボがリーダーを務め、1979年にリリースした、メロウ・グルーヴなラテン・フュージョン・アルバム。ラテン・ミュージックをベースに、ファンク、、ソウル、ジャズなどの要素が混ざった感じですごくノリがいい。ホーン・セクションやコンガ、ティンバレスなどのパーカッションに加えてホーン・セクションで音に厚みをもたせている。
しかし、最大の魅力は、何と言ってもEW&Fやクルセイダースに参加していたギタリストのローランド・バティスタがゲストで参加しているところ。その持ち味を最高に発揮しているナンバーが今日選んだA①『PALOS』だ。強力なギター・カッティング。これが、めちゃカッコイイのだ。
梅雨から夏にかけて。こんなゴキゲンなラテン・フュージョンを聴きながら・・・うめ吉ご夫妻ならずとも、みんな踊りだすこと請け合い。
ただし、名盤の誉れ高い1枚だというのに未だCD化されていないのだ。早く実現して欲しいものだ。
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