ジャケット買いしてしまった!
■■A Day In The Life・・・
■■きょうの僕を幸せ気分にしてくれた1曲
[2007/06/18]
【A SINNER KISSED AN ANGEL】

written by DAVID / JOSEPH
performed by HERBIE MANN AND ORCHESTRA
from the album[LOVE AND THE WEATHER] (1956年)
内容はともかく。このジャケット写真を見た途端、即座に買おう!と決心した。
昨日の夜のこと。僕は何気なく古いジャズ雑誌を引っ張り出して読み返していた。そして雑誌のグラビア・ページを開いた時だった。グリーン一色のジャケットが目に飛び込んで来た。この写真、いいなあ~!
寺島靖国というジャズ喫茶オーナー兼ジャズ評論家が連載していたページで取り上げられていた1枚レコード。それがこのアルバムだ。寺島氏自身もこのジャケットについて「私はあらゆるジャケットの中で、この『ラヴ・アンド・ザ・ウェザー』が最も好きだ。はっきり言おう。中身なんかどうだっていい。入っていなくてもいい。」とまで褒めたたえている。
僕らの世代(40代後半以上の世代のこと)は、1970年代後半から80年代初期にかけて、アメリカやヨーロッパから直輸入されたアナログ・レコードを買い漁っていた。直輸入盤だから、1枚1枚薄いビニールでシールドされていて中身を聴くわけにはいかなかった。
しかも知らないミュージシャンだったりすると、どうしようもない。当時、現在のように情報がない。インターネットで検索して、試聴して・・・なんて出来る現代とは違う。
そこで僕たちがやったこと。それはジャケット裏に記された情報から中身を想像するという方法。それしか手立てはなかった。プロデューサーは誰か? 参加ミュージシャンは誰か?・・・少しでも手がかりを探した。そして当てずっぽうで決断。購入。こうやって買ったレコード。自宅へ帰り、急いでシールドをはがし、ターンテーブルに乗せて、聴く。ワクワクドキドキの瞬間。まさに博打である。
ヤッタ~!! 飛び上がらんばかりの歓喜の時もあれば。無口になって静かにターンテーブルから降ろし、ジャケットの中にしまい込み、「ふうっ」とため息をついた時もあった。いわゆる“ハズレ”である。
しかし。そういったクレジット買いもさることながら。たまに究極の無茶買い“ジャケット買い”もやっていた。つまり、最初から中身はどうだっていい。とにかくジャケットが素晴らしいから欲しい。それで中身が良ければメッケモノだというイチがバチかの無謀ショッピングである。
レコード・ジャケット。それは僕ら貧乏学生が唯一買うことの出来た、本物のアート作品。どんなに高価だったとしても3000円前後で買うことが出来た。30cm四方の、本物のアート作品。それこそ世界中に何万枚と出回っている物ではあるが、それはまさに本物である。これを手にすること、それはまさに至上の喜びだった。
bar伊藤の棚に収められているアナログ・レコードの数々。その中には、見ているだけで惚れぼれするような素晴らしいアート・ワークが施されたものも少なくない。お気づきだろうか。お店の隅にひっそりとレコードが飾ってあるのを。僕のお気に入りのジャケットなのである。季節や気分でたまに取り合えているのだが。
いずれにせよ。中身はもちろん、ジャケット写真も含めて。僕ら音楽大好きオヤジにとっては、かけがえのないお宝なのである。
さて。話がオタクになってしまったが。今日の1曲。mmm・・・曲というより、とにかくこのジャケット。演奏しているハービー・マンはフルート奏者である。昔から知ってはいる。しかし、あまり好みのタイプのミュージシャンではない。だが、どうしても、このジャケットが欲しかった。できれば30cmのアナログ・レコードで欲しいのだが、中古盤で探しても中々見つからないレア物であり、あったとしてもベラボーな値段が付けられている。
そこで、仕方なくCDで我慢しようとamazonで探してみた。ところが、これまた品切れ。やはり寺島氏が言うように、素晴らしいジャケットだから、僕と同じような考えの人が山ほどいるわけで(いわゆるオタク)その連中が買ってしまったということだろう。
途方に暮れた僕だったが、ひらめいた。もしかしたらアノ人は持っているかも!? そう。近所のカフェ・タイムレスのマスターだ。譲り受けることは無理だろうから、せめてジャケットを見るだけでも。さらには中身も聴かせてもらおうと思った。
お店にうかがう途中。何気なく行きつけのCDショップに立ち寄った。別に買いたいものがあったわけではない。ただ何となくだ。そして。「まさか? 発売されて2年近く経っているし。ここも売り切れだろう」という気持ちで例のCDを探してみた。ところが、あったのである。しかも新品で。
この時の感動と言ったらない。言葉では言い表せないほどの喜びである。ジャケットを眺めた。印刷の悪い雑誌で見たものとは比べものにならないくらい。思わず声が出そうになった。僕は心の中で「やった!!」と思い切り叫び、はやる気持ちを抑えながら、ウキウキ顔でレジに持って行ったのだった。
結局。カフェ・タイムレスにはなかった。マスターもあまりハービー・マンには興味がなかったみたいだった。調べてみたら発売当時は見向きもされず駄盤扱いだったようだ。確かに内容はイージー・リスニング風。しかもソニー・ロリンズの『サキソフォン・コロッサス』やソニー・クラークの『クール・ストラッティン』などがもてはやされていた時代。受けなかったのも仕方のない話だ。
さて。再び横道にそれたが。今日の1曲はT⑤『A SINNER KISSED AN ANGEL』を選んだ。どれでも良かったのだが。ストリングス・オーケストラをバックに、ハービー・マンはテーマメロディを丁寧にフルートで歌い上げている。斬新さも衝撃もまったくない。ただただ美しい。
ややもすると聴きやすさから、「ツマラナイ」と酷評されかねないだろう。しかし。こんなシトシト梅雨の午後。しっとりと濡れた街路樹を見ていると、とても似合うんだよなあ。こんなエレガントなサウンドが。何も考えずに音に身も心も任せられる。そして何よりも。ジャケットと共に、情景を愉しむことが出来る。
余談だが。ジャケットの二人。グイッと持ち上がったかかとから連想してみて。きっと強く抱擁しながらキスしているに違いない。勝手に名付けて『雨の中の接吻』そして。なぜか女性のハイヒール。片方しかない。僕は見逃さないぞ。うらやましい~~!
ちなみにジャケットのデザインは世界に冠たる名ジャケット師、バート・ゴールドブラット。彼のあまたある作品の中でも最高傑作と呼ばれている。
コメント
この投稿への コメント はまだありません...
コメント
許可される XHTML タグ: <p, ul, ol, li, dl, dt, dd, address, blockquote, ins, del, a, span, bdo, br, em, strong, dfn, code, samp, kdb, var, cite, abbr, acronym, q, sub, sup, tt, i, b, big, small>
URLや メールアドレス、AIM や ICQ のアドレスは自動変換されます。


