山で。海で。風が歌う。
■■A Day In The Life・・・
■■きょうの僕を幸せ気分にしてくれた1曲
[2007/06/11]
【ハドソン・ブリーズ】

プレジャー/向井滋春(紙ジャケット仕様)
written by 向井滋春
performed by 向井滋春
from the album[PLEASURE] (1980年)
昨日の店休日。何も予定は入っていなかったが、いつになく早く目覚めた。午前9時。いつもの休日なら、ここで二度寝するのだが。カーテン越しに射し込む陽の光があまりに強いので、起きてしまった。
呆れるくらい天気がいい。女友達の言葉ではないが「何かが起こりそうなくらいいい天気」だった。よし、ドライブしよう。でも、一人じゃなあ。僕は女友達に電話をした。しかし、日頃の付き合いが悪いせいか、あるいは急過ぎるせいか、片っ端から「ゴメンナサイ」だった。ふう。仕方ない。一人で出かけるか。
前々から行かなきゃと思っていたお店があった。梅雨に入る前に行こうと。南小国の眺めのいいレストランと、隣町の小国の旨い居酒屋さん。もう、一年近くうかがっていない。よし。行く先は決まった。午後1時。ちょうどいい具合だろう。
日曜日。しかも晴天。道は行楽の車で混んでいるかと思いきや、そうでもない。出発時刻をずらしたせいか。スムーズに進めた。窓は全開。吹く風には梅雨の湿り気はまったくなく、サラリとした感触が心地好かった。
さて。BGM。この時ばかりと選びに選んだ1枚。1970年代終盤から1980年代初頭にかけて日本中を席巻したクロスオーヴァー~フュージョン・ミュージック。それも日本人。
選んだのはトロンボーン奏者の向井滋春の6枚目のリーダー・アルバム『プレジャー』。1980年ニューヨーク録音。当時の向井はブラジル~ラテン系のリズムに凝っており、オリジナル曲はそういった傾向の曲が中心だった。
そこで、プロデューサーに日本のラテン・フュージョンの第一人者である松岡直也を依頼。アレンジも松岡直也がやっている。バックはスティーヴ・ガットをはじめとしたニューヨークを代表するミュージシャンたちが集合。
トロンボーン奏者のアルバムというと、想像がしにくいかも知れないが、あのソフトで伸びやかな音色が歌うと、実に気持ちのいいものだ。
R57を進み、大津からミルクロードへ。一気に阿蘇の外輪山の自然の中へ突入。緑の中を突っ走る。アルバム1曲目からグルーヴィなサウンドが車内に流れ出す。僕もゴキゲン。
ミルクロードから、やまなみハイウェイへ。遠く阿蘇五岳。眼下に阿蘇の町が・・・胸のすくような風光明媚なルート。ラテン・フレイバーの音楽に乗って、ハンドルを持つ手も軽やか。意外にも道は空いていて、僕は思い切りアクセルを踏み込む。全開の窓から風が吹き込んでくる。風はまるで歌うように僕の耳元で鳴る。
いつも友人だちと語り合うのだが、“阿蘇に似合う音楽って何だろう?”。今の僕は間違いなく、この1曲を選ぶ。
向井滋春のスケールの大きなトロンボーン・プレイは、まるで阿蘇の原野を吹く風。あるいは流れる雲のよう。まばゆい陽光が新緑輝く原野でキラキラと反射している。アルバム・タイトル『プレジャー』。喜び。歓喜。歓楽という意味。まさにそんな気分だった。
さて。今日の1曲。アルバムのラストを飾るT⑦『ハドソン・ブリーズ』。シンセサイザーの涼やかな音とメロウなメロディではじまる。この曲、途中でテンポが倍になる。さあ、ここからが聴きものだ。聞けば一発撮りセッションだったらしい。
エネルギッシュ&ダイナミックなスティーヴ・ガッドの本気の“煽りのドラミング”に一歩も引かず迫真のインタープレイを繰り広げる。このアルバムのハイライト! とにかく聴いている僕も興奮してくる。
1980年代初頭。本当にあの頃のクロスオーヴァー/フュージョン・ミュージック界は面白かった。ミュージシャンもクリエイティヴィティに満ち溢れていたし、元気だった。今聴いても、まったく遜色がない。それどころか、これだけのオリジナリティをもった音楽やミュージシャンたち。最近はとんと現れてこない。
ゴキゲンな音楽をリプレイしながら、やっと目的地に到着。午後3時過ぎ。な、なんと! お店は大賑わい。店内へ入るやマスターとママさんと、バイトさんがてんてこ舞い。スゴイ。「梅雨に入る前の、駆け込みじゃないかしら」とママさん。それにしても額に汗しながらのサービス。嬉しい悲鳴だ。
僕はゴキゲン・ドライブの締めにビールでも!と思ったが。思い直してノン・アルコール・ビールで我慢したのだった(涙)。無念。
そして今日である。昨日は山へドライブだったが、今日は不知火の海岸道路を買い付けドライブ。山でいいなら、もちろん海もだろうと。同じアルバムを流した。どんピシャだった。
ただ。同じ曲だと芸がない。アルバムの中でも一番エネルギッシュな、スピードあふれるナンバーを流してみた。これが見事に風景にマッチ。T③『ミラージュ』。リズム・アレンジに松岡直也のカラーがよく出ているナンバーだ。
午後の光が海面でキラキラと反射している。まさにミラージュ。そこへ向井滋春ののびやかなトロンボーン。もう、たまらない。やはりラテン・フュージョンはドライヴィン・ミュージックにいいなあ。
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