Street Story~東京'80 (13)
in my eyes...in my memories...
【ビル街の忍者たち】 常盤橋公園あたり
八重洲口にある書店へ行った帰りだった。ふだんあまり足を向けることの少ない東京駅周辺をなんとなく散歩してみたくなった。駅前を通り、常盤橋公園の横、ガードをくぐり抜け丸の内へ・・・というコースを立ててみた。
午後五時三十五分。駅周辺は帰宅を急ぐ人たちでゴッタがえしている。人はビルの谷間から、吸い込まれるように駅へ向かう。そんな人の流れに一人だけ逆らって歩いていると、後ろめたい気分になるのはどうしてだろう。
九月ともなれば、日が暮れるのも一段と早い。常盤橋公園あたりに来た時は、薄暗くなっていた。車の行き交う騒音のすきまに数人の声が聞こえてきた。何だろうと思い、公園へ入ってみた。そこには石垣があり、女性をまじえた十人ほどの若者たちが、しきりに石垣にしがみついている。そしてある者は上へ、ある者は横へと器用に移動していく。一人の若者に話を聞いてみたら「フリークライミングの練習」だという。ここで練習をして本番に挑むというワケだ。
この石垣、もともとは常盤橋御門。江戸城大手外郭の正門にあたるそうだ。
林立するビルの谷間で、石垣にしがみつく若者たち。都会ならではのその不思議な光景を見ていたら「ビル街の忍者」という言葉がフイと浮かんだ。
(1984年9月18日)
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東京の隠れた名所というべき常盤橋公園。県外の観光客はまったく来ない。東京および周辺住民で、なおかつ東京に興味を持っている人ぐらいしか来ないような旧跡である。あの頃はフリークライミングがにわかに脚光を浴び始めていた頃だったと思う。今、果たして忍者たちはいるのだろうか・・・
=オマケ=
■東京DE気ままにお散歩(常盤橋公園)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tokyo-sanpo/3b.htm
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